教銘舎の太田です。こんにちは。
自宅で掃除をしているとチャイムが鳴った。
玄関の扉を開けると、そこには空から舞い降りる雪の中に立つ僧侶。
どういった御用件ですか? と尋ねる前に
よく通る静かな声で『托鉢でございます。』と告げられた。
幼い頃祖父母と暮らしていた際、時々虚無僧が訪れていた。
そういった時祖母は決まってお米と和菓子、幾許かのお布施をした。
使途のはっきりしないような募金は気嫌いしているが、祖父母との記憶があるからか、
托鉢の方に対しては膝を付きお布施をさせてもらったことを感謝して手を合わせた。
すると僧侶は施財の偈を唱えて静かに去っていった。
ただそれだけのことなのだが、修行する僧侶の姿があまりにも美しく印象的で、
また昔の記憶を揺り起こされたことが嬉しかった。
私の祖父母は学があった訳でもなく、ただただ善良な普通の人たちだった。
その祖父母やそのまた先祖が培ったものが少しでも自分の中に生きていて、
私もそれを後進に伝えていくということが人として生きていくということなのだと思った。
それでは。